調整機構・セッティング
キャンバー調整
フロント・ストラットタイプは、トップマウントによってキャンバーを調整することが可能です。
キャンバーを調整する場合は、トップマウントのスライド固定キャップボルト4本を緩めます。ピロボディを適正なキャンバーになるまで移動し、キャップボルトを締め付けてください。スライド固定キャップボルトの締め付け規定トルクは、12‐14Nmです。
キャンバー調整時に、キャップボルトとマウントプレートが干渉する場合は、キャップボルトを他のネジ穴に移して取り付けてください。
注意
- スライド部にある打刻目盛りはあくまでも目安です。調整は測定器具を使用し、左右のキャンバー角が規定値内に収まっていることを確認してください。
サスペンションの形式によっては、ピロ/ナイロンナットが緩む場合がありますが、ナットの締め過ぎは、ショックアブソーバーの損傷の原因となります。必要に応じてネジロック剤などを使用してください。(ネジロック剤は、ロックタイト・262同等品を推奨)
ネジ山 | ナイロンナット | ピロナット |
---|---|---|
M10×1.25 | 18-24Nm | 25-30Nm |
M12×1.25 | 30-35Nm | 35-40Nm |
M14×1.25 | 60-70Nm |
注意
- カラーは必ず右図の場所に入れてください。場所を間違えたり、入れずに使用した場合、ショックアブソーバーが損傷する恐れがあります。
注意
- ピロアッパーマウントは、長時間・多走行するとピロボールにガタが発生し、異音発生の原因となります。2年または20,000kmごとの点検・交換をおすすめいたします。
注意
- トップナットを緩める時は、シャフト・シリンダーのストローク部を工具等で掴まないでください。ショックアブソーバーが損傷します。
スプリングプリロード調整
スプリングシートを移動させることにより、スプリングプリロードを増やしたり減らしたり、また、車高を上げたり下げたりできます。
お買い求めいただいたショックアブソーバーが全長調整式の場合、スプリングプリロードと車高調整を別々に行うことが可能です。この場合、車高調整は全長調整にて行います。
スプリングプリロードは、車高とステアリング特性に影響を及ぼします。スプリングプリロードを変更すると、車両の安定性に影響があります。
注意
- スライド部にある打刻目盛りはあくまでも目安です。調整は測定器具を使用し、左右のキャンバー角が規定値内に収まっていることを確認してください。
スプリングプリロード調整方法
付属の車高調整レンチを使い、ロックナット(2)を緩めます。スプリングプリロードを増やす場合は、スプリングロアシート(1)を時計回りに回します。スプリングプリロードを減らす場合は、スプリングロアシート(1)を反時計回りに回します。
注意
- スプリングが遊ぶ状態で使用しないでください。スプリングには常にプリロードを掛けてください。
警告
- スプリングプリロードの調整は、必ず車両をジャッキアップし、タイヤを外して行ってください。ジャッキアップせずに作業した場合、車両が破損したり、傷害に至る可能性があります。
- スプリングロアシート位置を調整し、付属の車高調整レンチでロックナットを締め付けて固定してください。(ロックナットの締め付けトルクは50-60Nmです)
車両への取付・セットアップ
また、ロアブラケットによる全長調整範囲は、前後ともに、基準位置から±15mmとなります。(ただし、モデルによってはこの限りではありません。詳しくは取付説明書をご覧ください。)
警告
- ロアブラケットを調整範囲外で使用した場合、車体部品との干渉や部品の脱落・破損などにより、重大な事故を招く恐れがあります。
注意
- 車高を調整後の状態で、全高が自動車検査書に記された数値の±40mmの範囲以内であること。および、最低地上高が9cm以上でないと、車両検査に合格しません。その範囲でご使用ください。
セッティング変更を施す場合は、車両の操縦安定性に大きく影響を与えるため、その変化を確認しつつ、行ってください。調整は基準値から始め、長いカーブや鋭いカーブ・路面状況の良いところや悪いところがあるテストコースを任意で設定し、調整する場合は1箇所ずつ変更し、極力同条件でテストコースを比較走行し、変化を確認しながら行ってください。
警告
- 調整を行う場合は、一度に1種類の調整を少しずつ、その内容をメモにとりながら行ってください。また、減衰力の調整は、車両の走行安定性に大きく影響するので、一度に4クリック以上変化させないでください。
警告
- 取り付けに係わるすべてのボルト・ナットは、取付説明書もしくは車両のサービスマニュアルに記載されている規定トルクにて締め付けされていることをご確認の上、ご使用ください。
※作動音について
車高調整式タイプのショックは、運動性能を重視した設計のため、各部から機構作動音等が発生する場合がありますが、機能的には何ら問題ございません。予めご理解の上ご購入くださいますようお願い申し上げます。
全高・全長調整
警告
- 車高・全長の調整は、必ずジャッキアップし、タイヤを外して行ってください。ジャッキアップせずに作業した場合、車両が破損したり、傷害に至る可能性があります。
警告
- 全長調整で車高を調整する場合(特に全長を短くして車高を下げる場合)、タイヤやサスペンションアーム類が車体と干渉しやすくなりますので、調整後は各部の干渉がないか十分確認を行ってください。
車高・全長調整方法(ストラットの場合)
5mmと6mmの六角レンチで、アンダーブラケット(B)の背面のボルト・ナットを緩めます。付属の車高調整レンチでショックアブソーバー本体を回して車高・全長を調整します。
アンダーブラケットは1回転で2mm移動します。アンダーブラケットの基準位置は、ブラケットの下端から、シェルケースの下端までが8mmです。この位置から±15mmの範囲内でお使いください。アンダーブラケットはハブに固定したまま作業をしてください。ボルトナットの締め付けトルクは10-15Nmです。
車高・全長調整方法(正立式の場合)
付属の車高調整レンチで、アンダーブラケットのロックナットを緩めます。車高調整レンチでショックアブソーバー本体を回して車高・全長を調整します。
アンダーブラケットは1回転で1.5mm移動します。アンダーブラケットの基準位置は、工場出荷時の位置となります。この位置から±15mmの範囲内でお使いください。(車種によっては±15mmまで調整できない場合があります。取付説明書ご覧ください。)
調整後、車高調整レンチでロックナットを締め付けてください。ロックナットの締め付けトルクは50-60Nmです。
減衰力調整
減衰力調整アジャスターの基準位置および工場出荷時は、調整ダイヤルを7クリック戻しの状態です。減衰力調整アジャスターは伸び側と縮み側の主として低中速の減衰力を変更することが可能です。
要点
- ショックアブソーバー装着後は、必ずクリック位置を確認してください。
減衰力調整方法
アジャスターを時計回りに軽くいっぱいに締め込んだ位置が最強(0段)で、そこから反時計回しに緩め方向に回し、推奨段数の位置までクリックを数えます。推奨段数の目安は各ショックアブソーバーの取付説明書をご参照ください。
注意
- 減衰力調整アジャスターのクリック位置は左右同じ段数にしてください。左右で異なると、走行安定性に悪影響を及ぼします。また、アジャスターは力いっぱいに回さないでください。ショックアブソーバーが損傷する恐れがあります。